【 ミニテク... 陶芸こわざ特集! 】

 いわゆる 『陶器づくりの作業説明』 は専門のサイトにお任せするとして・・・。
ここでは主に初心者向けの 知っているとちょっと便利(?)な ”こわざ” や ”小道具” 、”豆知識” など 本をみて実践したものや 私オリジナルのノウハウなども紹介していきます。
 ( トッ、トリビアの・・・。 無駄知識のページにならないようにしたいものです。)


 下の作業工程ごとのカテゴリーで紹介していきます。(上絵付けは守備範囲じゃないので外してあります。)
土づくり 成形 削り 乾燥 素焼き 下絵付け 釉掛け 本焼き 使う その他


【 土づくり 】

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【 成形 】

 (目次)
  1) 作品取り器
  2) 玉づくり

1) 作品取り器
・ロクロから切り取った作品を手板に移すときにものすご〜く重宝してます。中くらい以上の鉢物や皿物などを取り上げるときに大活躍!作品を歪めずに移動できます。
 実は これも吉田明先生のオリジナルなんです。
『つくる陶磁郎』の記事で見つけて早速 大中小の3サイズをつくりました。

 材料は工作用ベニヤ板と工作用の角材です。型紙を作ってからベニヤを糸ノコで左の写真の形に切って角材の柄をつけます。(柄は木工用ボンドを塗って木ネジで止めてあります。)大き目のものがひとつあれば十分汎用性があります。

2) 玉づくり
 ミニ窯用作品作りの基本は継ぎ目が無く丈夫な 『玉づくり』 です。
手ロクロを使って作れば簡単ですが、ここでは木の葉をロクロ代わりに使った趣のある方法(吉田式)を紹介します。
1) ぐい呑みを作ります。

 木の葉はアジサイの葉っぱを用意しました。
 粘土は約150g(古信楽荒目土)
 事前に良く『菊練り』しておきます。
 (中に空気が入っていると焼成時に破裂の原因になります。)
2) 丸くまとめた粘土を葉っぱの上に置きます。
  葉っぱは葉脈を模様として使いたいので、裏側を使います。
3) 粘土を中央真上から親指で押し付けて穴をあけます。
 (底は高台部分の厚みを残しておきます。)
4) 縁の厚みが均一になるように葉っぱごと粘土を回しながら広げていきます。
5) 好きな形が出来たところで成形終了。


【 削り 】

 (目次)
  1) 玉づくり成形後の高台削り(成形 2)の続き)

1) 玉づくり成形後の高台削り(成形 2)の続き)
6) 成形終了後、少し時間を置いてから高台削りをします。
  作品を伏せる際は口縁に葉脈がつかないように葉っぱも表側を使います。


 ・ミニ窯焼成用の作品には『付け高台』は向きません。『削り』か『つまみ出し』がいいようです。今回は『削り』です。
7) 削る時のコツはカンナを固定して、作品を回しながら削ることです。
8) 好みの形に削ったところで作品完成です!

 今回、模様を生かして高台内は削らないことにしました。


【 乾燥 】

 (目次)
  1) 乾燥中にヒビが入ったら
  2) ミニ窯焼成用作品を早く乾燥させる


1) 乾燥中にヒビが入ったら
 乾燥の基本はとにかくゆっくりと均一に。ですが、もし大切な作品にヒビが入ってしまったら・・・。
このやり方で意外と補修が効きますよ。

・乾燥中にヒビが入ってしまいました。
 (左の写真は一度補修してまだヒビがなくなっていない状態です。
 一度でダメでも何度か繰り返せばたいてい補修が効きます。)
・”ドベ” と新聞紙で湿布療法をします。

1) まず 本体と同じ土でドベを作ります。
2) 筆にドベ含ませて、ヒビによくしみ込ませます。
  (本体の乾燥が進んでいたら、予めヒビの周辺を水をつけた筆で湿らせておきます。)
3) ヒビの周り 1〜2cmの範囲もドベを十分塗ります。
4) ドベが乾かないうちに新聞紙を貼り付けます。
5) 全体を新聞紙で覆ってゆっくりと乾燥させます。
6) 乾燥後、新聞紙をはがします。
  ヒビがつながっていれば成功です。ダメなら再トライします。
  器などなら、このあと軽く削りで表面を整えます。

2) ミニ窯焼成用作品を早く乾燥させる
 作ったその日のうちにミニ窯で焼きたいのが人情ってもの。失敗なく早く乾燥させるテクニック。
でもあせりは禁物!約1時間。

1) 成形し終わったばかりの作品
2) カセットコンロにステンレスの中華鍋をセット。
(家庭で不要な鍋やフライパン何でもイイですが、空焚きをするので取手がプラスチックじゃないものがベターです。)
 鍋底に五徳を置いて、その上に魚焼き用の網をのせます。
3) 網の上に作品を置いて着火。とろ火にします。
4) 缶の箱を被せてそのまま約1時間、ゆっくり乾燥させます。

 特に皿ものは反りが出やすいので慎重に!


 全体に色が変わって白っぽくなったら乾燥終了の合図です。

 ※更に時間短縮のため、鍋にかける前に電子レンジで30秒程予備加熱をする方法もあります。



【 素焼き 】

 (目次)
  1) ミニ窯焼成用作品の素焼き方法

  2)素焼きの秘策

1) ミニ窯焼成用作品の素焼き方法
 ミニ窯焼成の成否の決め手はしっかりとした素焼きです!約1時間。
1) 約30cmに切ったアルミホイルをくしゃくしゃにしてから広げておきます。
  2〜3枚用意しておきます。
2) カセットコンロにステンレスの中華鍋をセット。←作品乾燥と同様です。
(家庭で不要な鍋やフライパン何でもイイですが、空焚きをするので取手がプラスチックじゃないものがベターです。)
 鍋底に五徳を置いて、その上に魚焼き用の網をのせます。
 更に1)で準備したアルミホイルを敷きます。

 この上に作品を置きます。(器ものは伏せて置くのが良いようです。)
3) 上から1)のアルミホイルで作品を覆います。

 カセットコンロを着火し、とろ火で約30分。乾燥の仕上げと予熱のつもりで焼きます。

 とろ火でも鍋底は真っ赤に焼けてきます。
4) 約30分後、軍手をはめて作品をひとつずつアルミホイルで包みます。
 このときもアルミホイルは一旦くしゃくしゃにしてから包みます。

 おにぎりみたいに・・・。
5) 網、五徳を取り除き、代わりにくしゃくしゃアルミホイルを鍋底に敷きます。
 (ふんわりと空気の層を作るように敷きます。)

 この上に作品を置きます。
6) 上からアルミホイルで隙間無く覆います。
7) 更に缶の箱を上に乗せて焼きます。

 火加減はずーっと『とろ火』です。とにかく ゆっくり、ゆっくり・・・。

 このまま約30分焼きます。
8) 焼き始めから約1時間。素焼き終了です。

 軍手をはめて、アルミホイルを開いて見ます。
 焼き上がりは色が変わっていますのでだいたい分かりますが、硬いもので軽く叩いてみて、乾いた音がしていればOKです。

 素焼きの終わった作品です。

 こんな焼き方ですが、びっくりするくらいしっかりとした素焼きが出来ます!
(失敗例1)

 アルミホイルに包んで鍋に直接置いたもの。→アルミホイルの中で破裂しました。『ボフッ!ボフッ!』って音で・・・。

 周りに散らばっているのは、ためしに乾燥済の小物を直接置いてみたところ、見事に粉々に破裂してしまったものです。『ポン・ポポン!』ってまるでポップコーンです。直火は厳禁ですね。
(失敗例2)

 これは、じっくり焼いたけれども破裂してしまったものです。
アルミホイルを破って中身が覗いているのが見えるでしょうか?


 上の写真の中身です。
高台部分が厚かったため、中に残った水分で水蒸気爆発の状態になったものと思われます。とにかく『厚いものは破裂しやすい』ようです。

2)素焼きの秘策 →こちらを御覧ください。


【 下絵付け 】

 (目次)
  1) ベンガラ(弁柄)


1) ベンガラ(弁柄)
 私なかなか物が捨てられない性格でして。。。 つい「何かに使えるかも。」とか思っちゃうんですよね。
 この冬 何十年ぶりの大寒波で 『使い捨てカイロ』なるもののお世話になりました。
これが使い終わっても捨てられないんですね。(笑)
 ふと思ったんですが、『使い捨てカイロ』って鉄分が酸化するときの発熱を利用しているんですよね。 ってことは使い終わって捨てる時の状態ってのは酸化鉄のかたまりってことですよね。絵付けに使うベンガラも酸化第二鉄・・・って同じじゃないですか!
 一応成分書きを見ると多少の塩分やらなにやらが混じっていますが、雑味も”あじ”の素ですから。。。などと自分に言い聞かせて使って見ることにしました。
1) 見てのとおり使用済み使い捨てカイロです。
2) 口をあけて、中身を取り出した状態です。

 カチカチに固まってます。
3) 乳鉢に入れます。
4) 乳棒でよく擂りつぶします。
5) 写真が暗くて見えづらいですが、完全に粉末になりました。
6) 少量を別の器に移します。
7) 少しずつ水を加えてよく溶きます。
8) 溶き終わった状態です。
9) 筆に含ませた状態です。

 もっとよく擂ったほうが良かったかな。粒子粗めでした。
10) サンプルづくり

 白土の素焼きの板に『ベンガラ』を塗って、焼いてみます。
11) 焼き上がりサンプルです。

 左半分:黄瀬戸釉
 右半分:透明釉

 還元焼成での色見本です。
鉄の赤というよりはこげ茶色ですが、これはこれで使えます。

・ぐい呑みに絵付けしてみました。
 我ながら十分な発色なので、ほかの作品にも使ってみようと思います。

 ここまで見てくださったあなたも、よろしかったらやってみてください。


【 釉掛け 】

 (目次)
  1) 釉薬攪拌機
  2) 釉掛け小物


1) 釉薬攪拌機
 陶芸用品として市販されている釉薬攪拌機って結構値が張りますよね。
これなら安上がりですよ。

1) 電動ドリル(だいたいの家ありますよね。無ければホームセンターの特売などなら2000〜3000円前後で買えます。
2) これもホームセンターで@600円くらいだったと思う。
  塗料などを攪拌するためのものとして売られています。
3) 1)+ 2) で完成!
  これ、完璧に攪拌できます。
  (釉薬の種類によっては沈殿して一枚板になってしまうものもありますが、その場合は釉薬を手である程度ばらしてから使うと良いです。)

2) 釉掛け小物
1) 柄杓

 大きいのは@100円です。
 小さいのは@500円くらいだったと思います。真鍮製なので片側の縁をくちばし状に曲げて使っています。細かな釉掛けに便利です。
2) 皿物用釉掛け補助具

 φ2.5mmの針金を曲げて作りました。(かなりパワーが要りました。)

 高台の無いお皿の釉掛けって結構悩みませんか? この上に皿を上向きに乗せて、竹串で押さえながら釉薬の中をくぐらせます。
 便利ですよ。


【 本焼き 】

  →こちらを御覧ください。


【 使う 】

 (目次)
  1) やきもの 使い初めに
  2) 陶器の食器と長くお付き合いする
  3) 『金繕い風』補修

1) やきもの 使い初めに

・窯出ししたままや、買ったばかりの陶器の底は荒い肌をしていますので、そのまま使うとテーブルに傷をつけてしまいます。普段使いの食器などならば底同士を合わせて軽く擦ってやるのが一番手っ取り早くて簡単に滑らかになります。擦るときは強く押し付けずにあくまでもやさしく。。。 でも高級品や茶道具などにはやらないでくださいね。(高台は御茶碗の命ですからね。)目の細かいサンドペーパーなどで丁寧にされることをオススメします。
 

2) 陶器の食器と長くお付き合いする

  1) 使いはじめる前に

      昔から伝わる、陶器を丈夫に長もちさせる方法です。
     米のとぎ汁で煮沸します。根菜料理と同じく水からです。いきなり熱湯に入れないでください。
     煮沸時間は20分程度でいいでしょう。冷ますときもゆっくり自然に!
      米のでんぷん質が陶器にしみ込んで、乾燥したあとは丈夫になります。また、汚れもしみ込みにくくなります。

  2) 普段のお付き合い
      1)で丈夫になったといっても、陶器(土もの)ですからデリケートなのは変わりません。
     縁や角などはとてもカケやすいのでぶつけたり、テーブルに強く置いたりしないようにしたいものです。
     また急須の注ぎ口などはすぐにカケやすい部分ですので予めビニールパイプを取り付けるのも手です。
      食品の汁や油などの汚れがしみ込みやすいのも陶器(土もの)の特徴です。盛り付けの前には一度水に
     浸してから使うようにすると比較的しみになりにくいです。20〜30分じっくりとつけておきましょう。
     (特に無釉の焼き締め陶の場合は必ず実行しましょう)
      ただ多少のしみなどは景色ですし、器が育ってきた証拠。むしろ貫禄が出てきて良いものです。

  3) 後片付け

    ・洗うとき
      洗うときは手洗いが基本です。食器洗い機の性能は向上していますが、洗浄中に食器同士が触れては
     カケの原因になってしまいます。(ちなみに私のつくった我が家の食器たちはこれでかなりやられています。)
      金タワシやクレンザーも表面の釉薬を傷つけますから使わないほうがいいでしょう。
     意外に洗っているときよりも、洗い終わって水切りのカゴなどに置くときが一番キケンなんです。カゴと器の縁
     は点と点でぶつかるもんですから非常にカケやすい状況なわけです。十分注意しましょう!
     ・・・で、もしカケてしまったら 3)の 『金繕い風補修』 をしましょう!(笑)
      自分の手にも注意!・・・荒めの土でつくられた器を洗うときには手を傷つけないよう十分ご注意ください。

    ・しまうとき
      しまうときはカビの発生を防ぐためにもとにかく十分に乾燥させることです。
     また 手づくりの器は必ずしもきれいには重ならないものです。縁の一点で上の器の重さを受けてしまうとカケ
     やすいので、間にキッチンペーパーなどを挟んでしまうと安心です。


3) 金繕い風補修(安くて簡単!)
 お気に入りの作品がカケちゃいました・・・。補修して使いませんか?
 新潟県中越大震災の影響で私の作品もかなり被害を被りました。大物作品や、普段使いにしていた器でもなかなか捨てられない物も結構あり、補修をすることにしました。名のある名品などであれば専門の方に『金繕い・金継ぎ』と呼ばれる方法で修繕してもらい、更にはそれを景色としても楽しむところですが、そんな贅沢はできません。・・・そこで、安くてそこそこ”それ風”に見える金繕い風の補修を自分ですることにしました。
【準備したもの】
・透明エポキシボンド(2液式) @100円
・ボンド付属のヘラ
・ゴールドの塗料
(クリアーラッカーにゴールドパウダーを混ぜて使うタイプ) @700〜800円位
 →パウダーのみ使用。
・カッターナイフ
・#600以上の耐水ペーパー(サンドペーパー)

・左写真の縁がカケてしまった飯碗の補修を例に紹介します。
 このやり方で結構いっぱい補修しました。
1) 透明エポキシボンドのA剤を適量出します。
2) 1)と同量のB剤を出します。
・ゴールドのパウダーはこんな感じです。
3) ゴールドパウダーを少量すくいます。
4) エポキシボンドの上にかけます。
5) ヘラで手早く混ぜ合わせます。
  この時点から硬化が始まります。
6) 混ぜ合わせ終わった状態です。
  まだトロトロなので状態を見ながら少し粘度が増してきたら使います。
  (3〜5分くらい)
7) ボンドを補修したい部分にすり込みながら置きます。
  このとき補修部分よりも少し大きめに置くことと、盛り上げて置くことがポイントです。(エポキシボンドとはいえ硬化後の”引け”は若干ありますから。)
 また空気を取り込んでしまうと、あとで仕上げに削ったときに”巣”が出てきてしまいます。
8) ボンドを補修部分に置き終わった状態です。
9) 重力に逆らわないように逆さまにして硬化を待ちます。(15〜30分)
  8)のまま置いておくと硬化するまでに流れてへこんでしまいます。
10) 硬化後、カッターナイフでまわりの高さと合わせるように削ります。
11) #600以上の細かめの耐水ペーパーに水をつけます。
12) ぬれタオルで磨ぎ汁を拭き取って状態を見ながら、まわりと馴染むまで丁寧に磨きます。
13) 安くて簡単!『金繕い風』補修の出来上がり!
   けっこう”それらしく” できてるでしょ?

   注) 安全上、補修部分が直接 食品に浸るような使い方をする部分には不向きです。
ヒント
 このやり方では補修部分にツヤが出ませんが、ピカピカの金色がお好みならば、削り〜磨き( 10)〜12) )をせずに 7)の工程で慎重にモールドしてやって、硬化したらそのまま完成。という方法もあります。(この場合、多少の”引け”は出ますが。)


【 その他 】

 (目次)
  1) イッチン


・イッチンによる装飾技法はご存知ですよね。
 そのイッチン用スポイトの代用品を紹介します。
どこのホームセンターにも置いてある油さしです。これに化粧土を入れれば・・・はいOK。
@20円也!

このままでも十分ですが、先端をカッターナイフで切れば太さ調節も自由自在です。
また、安いので色化粧土別に数種類準備しておけば、「いちいち洗って入れ換えて・・・。」といった手間も省けてとても効率的です。
・子供のつぶやきを引用して、こんなプレート作ってみました。

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